吉田畜産…人にも豚にも川にも優しい養豚場


吉田畜産全景
吉田畜産全景
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渥美半島の先端渥美町は畜産業の盛んな地域で、吉田畜産のほかにも多くの畜産業者がある。しかしどの業者にとってもにおいは悩みの種であり、住宅地と畑地との境界付近に位置する吉田畜産にとっては特に深刻な問題であった。


もともと、肉に甘みを出すために菓子くずをえさに加えたり、病気の発生を抑えるために徹底した管理をするなど、熱心な経営を行っていた吉田畜産が、EMに家畜の臭気を抑える力があると知って、3年前にEMの使用に踏み切った。EMの使用範囲は徐々に拡大し、現在では、
  • 動力噴霧器でEMを場内に散布 (写真1,2)
  • 重量比で0.2%ほどのEMボカシを餌に混入
  • 2ヶ月に1回ほど、400リットルのEMを浄化槽に直接投入 (写真3)
写真1
場内散布のEMに群がる豚
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写真2
場内散布のEMに群がる豚
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写真3
浄化槽に直接投入されるEM
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─── 場内散布のEMに群がる豚 ─── ─ 浄化槽に直接投入されるEM ─



などの方法で利用している。特に場内散布の際には、豚が争ってEMを飲みに集まること、豚舎内の臭気が一気に減少するということを目の当たりにし、さらに
  • 豚舎や浄化槽のにおいが大幅に減少(商売やめたのかとたずねられたとか)
  • 排水口付近の河川のヘドロが消えた(下流部の砂の様子などから判断すると、むしろ『吉田畜産の排水が浄化力を持っている』と考えたほうが自然)(写真4)
  • 病気の発生が減り、経費が減少(発情や出産の成績もよいとか)
  • 肉の臭みが少なく、さらに甘みが増加
などのメリットがあった。働く人や豚に心地よく、周囲の環境も整え、消費者によりおいしい肉を提供できる畜産農家となっている。


写真4
ヘドロが消えた水路
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ヘドロが消えた水路